屋根の棟とはどの部分?
屋根の棟ってなんだ…?はじめて聞いたぞ…
建築業界には専門用語がとても多いので、もしかしたらこのような人もいるかもしれません。
棟というのは屋根の山になっている部分(頂点)です。
屋根材を並べていくと、屋根材の特性上どうしても頂点の部分に隙間ができます。
そのため、この屋根の棟には他とは違う施工をしてあげて、隙間から雨風が入らないようしなくてはいけないのです。
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棟板金とは
棟板金とは棟に取り付ける加工した金属の部材です。
- スレート屋根
- 金属屋根
- アスファルトシングル屋根
このような屋根材を使用している建物では、基本的にこの棟板金を取り付けます。
棟板金の取り付け工程は、
- まず屋根材を並べ
- 棟に貫板という木材を固定し
- その上に棟の形に加工した棟板金をかぶせ
- 最後にその棟板金と貫板を釘で固定する。
という流れです。
スレート屋根の修理についてはこちらで詳しく解説しています。
棟瓦とは
屋根材に和瓦等を使用している場合は、棟に棟瓦という専用の瓦を積み、隙間を塞ぎます。
瓦材は非常に硬い素材なのでただ棟瓦を積むだけでは屋根瓦と棟瓦の間に隙間が発生してしまいます。
そのため、棟瓦を積んだあとに漆喰を充填しその隙間を塞ぎます。
瓦屋根の修理についてはこちらで詳しく解説しています。
屋根の棟の修理費用と修理方法【まとめ】
棟を直すための方法は一つではなく、状況によって適切な工事方法を選んでいくことが大切です。
実際に屋根の棟を修理する場合、どんな方法があって修理費用はいくらになるんだろう?
という訳でここからは棟の修理方法とその金額について詳しく説明していきます!
①棟板金の交換工事の費用と方法
棟板金のみがゆがんでしまったり、風で飛んで行ってしまったという場合は棟板金の交換工事を行います。
表面の板金だけを交換する工事なので、費用自体はそこまで高くはありません。しかし、交換が必要な距離数によって工事金額も変わります。
棟板金の交換工事の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
---|---|
棟板金の取り付け | 5万円~10万円 |
棟板金の撤去廃棄 | 1万円~3万円 |
足場 | 15万円 |
合計金額 | 約20万円~30万円 |
②棟板金と貫板の交換工事の費用と方法
棟板金の下地の貫板まで劣化、または破損してしまった場合は、棟板金だけではなく貫板も交換する必要があります。
貫板を交換する分、手間や材料が多くなり、費用も高くなります。
棟板金・貫板の交換工事の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
棟板金の取り付け | 5万円~10万円 |
貫板の取り付け | 2万円~8万円 |
棟板金の撤去廃棄 | 1万円~3万円 |
足場 | 15万円 |
合計金額 | 約20万円~35万円 |
③棟板金の釘の打ち替え工事の費用と方法
棟板金の釘だけを補修する場合は釘の打ち替えという方法があります。棟板金は問題ないのに釘だけが浮いていたり、抜けているという場合に行う工事です。
既存の釘を抜いて新しい釘やビスを打ち、その上から頭をコーキングで塞ぎます。
この際、既存の釘よりも少し大きめの物を使うこと、また、劣化しにくいいステンレス製の物を利用することで釘浮きの再発を防止できます。
棟板金の釘の打ち替え工事の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
釘・ビス打ちの手間と材料 | 2万円~5万円 |
足場 | 5万円~15万円 |
合計金額 | 約7万円~20万円 |
④棟瓦の積み直し工事(湿式工法)の費用と方法
棟瓦がズレたり、劣化して雨漏りしている場合は棟瓦の積み直し工事を行います。
積み直し工事の工程は、既存の瓦を解体し、土台になっている葺き土と漆喰を除去し綺麗にしたあと、漆喰等により高さを調整し、一度解体した棟瓦を積み直します。
綺麗に並べたのち瓦同士を銅線で緊結し、冠瓦をビスで固定して完成です。このように積み直し工事は工程が多く手間です。そのため工事費用も高めとなります。
棟瓦の積み直し工事(湿式工法)の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
棟の解体撤去・廃棄 | 5万円~15万円 |
棟の形成・既存瓦の設置(漆喰等含む) | 10万円~15万円 |
足場 | 15万円 |
合計金額 | 約30万円~45万円 |
⑤棟瓦の積み直し工事(乾式工法)の費用と方法
棟瓦を積み直す際に、漆喰や葺き土を利用しない工法があり、これを積み直し工事の乾式工法といいます。
乾式工法の最大のメリットは土や漆喰を利用しない分軽量化できる点です。そのため耐震性能の向上が期待できます。
棟瓦の積み直し工事(乾式工法)の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
棟の解体撤去・廃棄 | 5万円~15万円 |
棟の形成・既存瓦の設置(乾式面戸シート、金具、棟芯材等含む) | 15万円~30万円 |
足場 | 15万円 |
合計金額 | 約35万円~60万円 |
⑥漆喰の補修・詰め直し工事の費用と方法
表面の漆喰だけが劣化をしており、棟瓦内部はそのまま利用できる場合は、漆喰の補修・漆喰の詰め直し工事を行います。
既存の表面の漆喰を綺麗に除去し、新しく漆喰を打ってあげる工事です。
漆喰の材料費と、人件費が主な費用となります。
漆喰の詰め直し工事の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
既存漆喰の撤去廃棄 | 2万円~5万円 |
漆喰打ち | 2万円~5万円 |
足場 | 15万円 |
合計金額 | 約20万円~25万円 |
⑦瓦のラバーロック工法の費用と方法
瓦のズレや落下が気になる場合はラバーロック工法を行う事もあります。
ラバーロックとは瓦同士をコーキング材で接着させることで一体化し、耐風性や耐震性を高める工法です。
しかしこの工事には賛否あり、正しく工事を行わないと雨漏りのリスクが高まるなどの危険性がいくつか潜んでいます。工事を検討する場合は良く調べてから行いましょう。
瓦のラバーロック工法の目安費用を確認する
項目 | 目安費用 |
下地調整 | 1万円~3万円 |
コーキング | 3万円~10万円 |
足場 | 15万円 |
合計金額 | 約20万円~30万円 |
屋根修理にほぼ必須となる足場費用!
な、ななななんだって足場代はこんなに高いんだいっ…!
屋根の棟の修理費用を調べると必ずと言っていいほどついてくる、この足場代。
たしかに数字だけ見ると足場代は高く「これが無ければだいぶ工事費用が浮くし助かるな」と考えてしまいます。
しかし、屋根の工事となれば、例えば平屋の家の屋根でも3m以上の高さがあります。
落ちれば大事故ですし、取り返しがつきません。足場は職人の命や健康を守る上で必要なものなのです。
そもそも足場は労働安全衛生法によって必要であると定められており、足場を立てないで作業をする会社は法律違反である可能性があります。
第五百六十三条 作業床 事業者は、足場(一側足場を除く。第三号において同じ。)における高さ二メートル以上の作業場所には、次に定めるところにより、作業床を設けなければならない。労働安全衛生規則 第二編 第十章 通路、足場等 – 安全衛生情報センター
- 「うちでやれば足場無料です!」といって目先の契約を優先するリフォーム業者
- 利益率を上げるために足場を立てないで作業をさせる社長や元請け会社
リフォーム工事を行う際には、こういった危ない会社にお願いしないように気を付けましょう。
また、屋根の工事をする際の足場代は必要経費であるという事を覚えておいてください。
屋根の棟修理の実際の見積書を公開!
総合リフォーム・おうちのお悩みドロボーは見積無料で相見積もり歓迎です。なぜなら価格にも自信があるから!
という訳で今回は特別に実際の屋根の棟修理工事の見積書データを公開します!
もし既に見積もりを取っている方は、ぜひお手元の見積書と価格や項目を見比べてみて下さい。
屋根の棟板金の交換工事の見積書はこちら
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棟の被害状況や劣化状態から見る修理タイミング
ところで、棟を修理する正しいタイミングっていつだろう?
というわけでここからは、棟を修理するべきタイミングを被害状況や劣化状態から判断していきます。
①棟板金の浮き
棟板金は経年劣化や強風の影響によって歪むことがあります。棟板金がゆがむと屋根材との間の隙間が大きくなってしまいます。
建築業界ではこれを棟板金が浮いている状態と表現します。
棟板金が浮いてしまうと当然そこから雨や風が入ってくるので、放置すれば屋根の劣化、防水シートの劣化、最終的には雨漏りへと繋がるのです。
棟板金の浮きが数ミリ程度であればすぐに問題があるようなことはないでしょう。
しかし、数センチ浮いていたり、隙間から中の貫板が見えるような場合は緊急度が高いです。早めの修理を行ってください。
②棟板金の釘の浮きや抜け
棟板金を固定している釘は風や地震の揺れ、熱膨張などによって徐々に浮きはじめ、さらにそれを放置すると完全に抜けてきてしまいます。
釘の浮きや抜けが起こるとその釘穴から雨が侵入し、貫板や下地、防水シートを劣化させてしまいます。
緊急度は高くないですが、ただ釘が浮いていたり抜けているだけであれば修理費用も安いです。できるだけ早い段階でメンテナンスしてあげましょう。
③棟板金の錆(サビ)
棟板金は金属なので、経年劣化や立地状況によっては錆が発生してしまいます。
実際、錆が発生しているだけであれば修理は必要ありません。
しかし、サビている箇所は当然他の箇所よりも脆く、いずれ板金に穴が開く可能性が高いです。
緊急度は高くありませんが、早い段階でメンテナンスすることをオススメします。
④棟瓦のズレ
棟瓦は非常に重いものですが、強風や地震などの自然災害によってズレてしまう事があります。
また、棟瓦がズレている場合は、棟の中も表面の漆喰もボロボロになっている可能性が高いです。
この状態を放置すれば雨漏りや、瓦が落ちてくる可能性も高まります。
ズレている度合いにもよりますが、基本的には緊急度が高く出来るだけ早く修理した方が良い状態だと言えるでしょう。
⑤瓦屋根の漆喰のヒビ割れ
漆喰はもともとあまり頑丈な素材ではありません。そのため経年による乾燥収縮や、地震や風の影響等でひび割れてしまう事が多いです。
しかし、漆喰がひび割れしている程度であれば大きな問題はありませんのでご安心ください。
ちなみに漆喰のメンテナンス期間は15年~20年ほどです。定期的に交換してあげましょう。
⑥瓦屋根の漆喰の欠けや崩れ
先ほどの漆喰のひび割れを放置していたり、大きな地震や台風の影響を受けたりすると、漆喰がボロボロと崩れたり欠けてしまう事があります。
この状態は棟の内側に直接雨風が入ってしまうような状態で危険です。緊急度が高いので出来るだけ早く修理した方が良いと言えるでしょう。
屋根の棟の劣化を放置すると雨漏りに直結する
屋根の棟の修理、意外と高いからいつか余裕ができてから工事しよう
たしかに屋根の棟の修理にかかる金額は高額です。
ですから緊急度が高くない棟の修理は後回しにしても良いとは思います。
しかし、棟を直しておけば数十万円で済むのに、修理する必要がある棟を放置して被害が悪化した場合100万~300万円の修理費用が必要になるリスクがある事は覚えておかなくてはいけません。
一度壊れた屋根や建物は勝手に直りません。悪化する一方です。
緊急性の高い屋根の被害についてはなるべく早く直すようにしましょう。
棟瓦は定期的にメンテナンスが必要
瓦は頑丈で長持ちですが、メンテナンスが不要という訳ではありません。
当然、定期的にメンテナンスを行わないとどんどん劣化していってしまいます。
棟瓦の場合は20年~30年程度で定期的にメンテナンスを行うのが良いとされています。
そろそろこれくらい経つ、またはもう過ぎてしまっているという方は一度修理の検討をしてみて下さい。
屋根の棟の修理をする際に知っておきたい制度や費用を安くするための方法・コツ!
屋根瓦の修理って思っていたより高いかも…
そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。
※屋根瓦に限らず、リフォーム工事って高い気がしてしまいますよね
というわけでここからは、具体的に工事をお考えの皆様のために少しでも屋根瓦の修理費用を安くするためのポイントについて説明します!
相見積もりを取る
リフォーム工事の多くは相場はありますが、定価はありません。つまり、同じ工事内容でも安い所高い所があります!
ですから、誰でもできる簡単な修理費用を安くするための方法として、相見積もりを取る事は非常に効果的です!
しかし気を付けなくてはいけないのが、安いと思っても必要な工事の項目が入っていないなんて場合もあります。手抜き工事という事ですね。
相見積もりを取る際は必ず「本当に必要な工事が含まれているか」を確認してください。
屋根の棟の工事は一部修理ができる
屋根の棟は全面ではなく一部分だけ修理することが可能です。
一部修理であれば、屋根を全面工事するよりは割高にはなってしまいますが総工費を抑える事ができます。
ただ、一部修理では工事費を抑えることができますが、デメリットも潜んでいます。
- 雨漏りが止まらない場合がある(工事をやり直さないといけない)
- 工事していない部分の屋根が悪化・被害拡大することがある
- 費用が割高になる
- 屋根職人やリフォーム会社が引き受けたがらない
屋根の一部修理・部分補修についてはこちらで解説しているので、興味がある方は確認してみて下さい。
台風で屋根の棟が壊れたら火災保険が利用できる!
屋根の棟の修理には火災保険が利用できる可能性がある事をご存じですか?
火災保険は「住宅総合保険」と言って、台風や雪や雹などの自然災害によって建物が被害を受けたときにその補償を行ってくれる保険です。
屋根の棟は台風や雪や雹などの自然災害の被害を受けやすいですから、
うちの屋根の棟は自然災害で壊れた
という方は必ず火災保険が利用できるか確認するようにしましょう!
補助金や助成金の対象になるか調べる
自治体によって、屋根の棟のリフォームには補助金が出る場合があります!
- 住宅リフォーム補助金…自治体内で行う住宅のリフォーム工事の費用を一部補助して貰える制度
詳細はこちらから ➡屋根修理・リフォームに使える補助金や助成金【まとめ】
自治体によって要件や金額は変わりますが、10万円~30万円もどってくる可能性があります。
屋根リフォームの際はぜひ補助金や助成金についても確認してみて下さい。
屋根の棟の修理にはリフォームローンが利用できる!
- 「今にも屋根が剥がれそうで心配」
- 「すでに雨漏りしているので緊急で直したい」
- 「屋根修理したいが、何百万円も貯金するまで工事できないのは困る」
こんな状況でお困りの方もたくさんいらっしゃいます。
そんな時はリフォームローンを利用した屋根修理や雨漏り修理を検討してみて下さい!
リフォームローンは名前の通り、家のリフォームの際にその資金を借り入れできるローンのこと。
しかも借り入れは手元にお金が無くてもできますし、保証や担保が不要なローンも多いです。
リフォームローンを利用した屋根修理や雨漏り修理はこちらのお話を参考にしてください。
「棟が浮いている」という訪問業者は怪しい【注意!】
家の屋根の棟が浮いて(ズレて)いるので危ないですよ。
偶然通りかかったときに見つけて、教えてあげようと思って。
突然家にこのような屋根修理の訪問販売業者が来て、無料点検や高額な修理を勧めてくる事案が全国で多発しています。
- 屋根に上られて、屋根を意図的に壊された
- 高額なリフォームの契約をさせられた
- 修理してもらった数ヶ月後に、屋根がまた壊れた
このような被害につながり、泣き寝入りしているお客様がたくさんいらっしゃいます。
訪問業者が来た場合、それが悪徳業者や詐欺である可能性をその場で判断することが難しいです。
じゃあ知り合いの屋根屋さんに見てもらいますね
と伝え、ハッキリ断ってしまいましょう。
間違っても絶対にその場で契約や点検のお願いをすることは避けて下さい。
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この記事を書いた人
FP2級合格、CBT試験合格、宅建士試験合格
総合リフォーム・おうちのお悩みドロボー 代表
村松
国家資格であるFP2級・宅建士試験などに合格し、保険業界や不動産業界にて営業やフィナンシャルプランナーとして経験を積んできました!
不動産業界のブラックな雇用形態とパワハラに疑問を持ち退職。
保険業界では「もしかして、世の中って不要な保険が多いのでは?」と疑問を持ち退職。
その後"自分が正しいと思った事を仕事にしたい"と思い、独立しました!
現在はその経験を活かし、自宅のリフォームや火災保険の申請サポートを行う"総合リフォーム・おうちのお悩みドロボー"にて、微力ながら皆さまの生活にプラスになるお手伝いをしております(・∀・)ノ